1986年4月 バンダイ
良作に恵まれない領域である「アニメのゲーム化」ですが、このソフトの場合は何とかゲームになっていて、しかもそれなりに歯ごたえがあります。
もう噛み切れないぐらいです。
その一番の原因としてはコンティニューが無いことでしょうか。
裏技によるコンティニューももちろん無いですし、かと言ってゲームそのものの難易度が丁度いいかと言うとそうでもなくとても難しめです。
しかし、これも例によって練習すればクリアできるようになりますし、その難しさに面白みを感じることができるようになってくるかと。
有名な「魔界村」シリーズもそうであるように、難しくても練習すれば徐々に進めるようになるゲームというのは、絶妙なゲームバランスで作られている優秀なゲームでもあるのだと思います。
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あらすじ
鬼太郎が主人公のゲームということで、あらすじは王道でわかりやすく、「悪い妖怪が人間界を征服する為に日本に出現させた魔境を、良い妖怪である鬼太郎が元通りにしていく」というものです。
ちなみにこのあらすじは説明書と箱(とカセットの裏)に載っているだけで、ゲーム内ではその様な内容は一切語られませんし、それどころかその他のメッセージテキストも無く、エンディングも無いループ仕様のひたすらアクションゲームとなってます。
ゲームの流れ
見下ろし型のフィールドマップを移動し、何個か点在している「魔境」に入ると横スクロールアクションシーンとなります。
魔境のどれかで「水晶玉」を入手すると、フィールドマップにあるボスの城(妖怪城)に入ることができ、ボスを倒すとステージクリアとなります。
魔境に入る目的は水晶玉を入手することなので、手に入れた後は残りの魔境は特に入る必要は無くなります。妖怪城までの道のりで魔境が道を塞いでいないのであれば、運が良ければ1つ目の魔境をクリアして、すぐに妖怪城へ乗り込むことも可能です。
ステージはボスの種類で数えると全8ステージですが、それ以降に新規のザコが登場する為、正確には16ステージで1周のようです。(ここでは8ステージで1周ということにしています。)
魔境
魔境は4種類あり、それぞれタイプの違ったアクションステージとなっています。
また、必ず一種類のスペシャルな武器と、仲間を呼ぶ為に必要な「オカリナ」、1UPアイテムである「目玉おやじ」が出現するので、腕に自信があるなら全部回収してもいいかと思います。
妖界魔境
足場が3段になっているだけのオーソドックスな造りのエリアで、敵を10体倒すとクリアです。
「ねずみ男」がクサイ息で攻撃してくる敵として登場しますが、彼は原作でも純粋な敵では無い為か、敵数としてカウントされないようです。
アクションゲームなのでドシドシ横に動きたいところですが、この魔境ではあまり動かずにノコノコやってくる敵を倒していった方が無難です。特に2周目から弾を連発してくる敵が結構厄介で、移動しまくっていると突然の弾連打を避けれません。
ちなみに魔境はすべて左右に無限ループしています。
妖炎魔境
鬼太郎の後をユラユラと追尾してくる「つるべ火」で10本のロウソクに火を灯せばクリアです。
敵を倒しながら様々な高さの足場のロウソクへと向かうだけでも大変ですが、さらに地面には穴が開いているので落下して死ぬ可能性もあります。
狭い足場にあるロウソクに火を灯す時の微妙な位置調整がなかなか面倒くさいですが、そんな時は思い切って一旦別のロウソクに向かったりすることで、偶然灯すことができたりもします。
2周目のこのエリアに出現するはカッパみたいなのとカラスみたいな敵が飛ばしてくる弾はかなりの厄介者です。
妖空魔境
一反もめんに乗っての空中戦エリアで、敵を10体倒すとクリアです。
上下左右に自由に移動できますが、このゲーム特有の動作の慣性のせいで他の魔境よりも難しく感じます。
特にバリアにより攻撃を当てにくい敵と、一度に8方向に弾を放つカミナリ様は脅威です。
特にこのバリアの敵は2周目以降はバリアの密度が高くなっており、攻撃がこれでもかと言うほど弾かれます。無難にスペシャル攻撃を使用した方がいいです。
妖奇魔境
妖界魔境に似たオーソドックなエリアで、空中にワラワラと出現する魂を10個取るとクリアです。
魂はその場で浮かんでいるのではなく、追いかけると鬼太郎よりも少し遅い速度で逃げていくので、結構横スクロールさせられます。
地面にはしゃがんで攻撃しないと当たらない体高の低い敵が定期的に転がってきてますが、墓石上を渡るように移動して基本的には無視です。
2周目以降のこの敵の転がる速度が尋常ではないですが、地面にさえ降りなければ無害です。ただ同じ魔境でも地形が違うタイプもあり、「川」タイプだと無視はできませんが。
妖怪地獄
魔境でクリア条件を満たすと出口が2つ現れ、どちらかはフィールドマップへ直帰できる正解出口ですが、もう片方はハズレで妖怪地獄に突き落とされます。
ここは上に昇って行き、頂上に待ちかまえる巨大妖怪を倒せばフィールドマップに出ることができるという特殊なエリアです。また、スペシャル攻撃は使用できません。
スペシャル攻撃を使うほどの敵も出ませんが。
このエリアに登場する巨大妖怪の1種であるアメリカの妖怪「バックベアード」は、シンプルながらその見た目のインパクトは大きく、このゲームの象徴のような存在。
ここのボスは超巨大妖怪の為動きませんし(動かないというか、動けない)、弾を飛ばしてくるだけですが、巨大妖怪の弾発射箇所である口元近くを通らざるを得ないので、向かってくる弾の角度によっては非常に避けにくい時もあります。
さらに、上に昇っていく途中に上から突然降ってくるザコがなかなか厄介です。
鬼太郎の攻撃方法
基本攻撃は定番の「毛針」です。弾数も、射程距離も無限です。
スペシャル攻撃
スペシャル攻撃は、取得後はセレクトボタンで種類を選択して使用します。
指鉄砲
貫通性能を持つ指型の弾を前方に発射します。
1回の取得で20発と太っ腹な数を補充してくれるので、もったいぶらずにボスや妖空魔境のバリア持ちのザコに使いましょう。
ちゃんちゃんこ
ユラリと発射し、慣性の法則を伴い、徐々にスピードアップしながら押した十字キーの方向へ飛んでいきます。画面内であれば方向転換も可能で、貫通性能もある為、理論上は永久に攻撃できる武器です。
しかし操作がそんな簡単なハズもなく、十字キーを押しているので当然鬼太郎も移動してしまい、ちゃんちゃんこの操作など二の次です。
鬼太郎の操作をしている内にものの数秒でどっかへ飛んで行ってしまいます。
リモコン下駄
ちゃんちゃんこ同様操作が可能です。
こちらは貫通性能が無い代わりに、敵に当たるまでは画面外に消えても有効です。その為、発射後しばらくしてから画面を猛スピードで横切ったりすることがありビックリします。
結論として、このゲームでのちゃんちゃんことゲタはまったく使い物にならない武器なのであります。
火炎
貫通性能ありの炎を前方に向かって発射します。指鉄砲と似ていますが円を描いて飛んでいく為、指鉄砲より攻撃範囲が広いです。
但し、炎ということで一部炎系の敵には無効だったりします。
これらの武器は魔境でクリア条件が残り7になった時点でランダムで出現します。
使い物にならない「ちゃんちゃんこ」と「ゲタ」ですが、取得時は一定時間無敵になるという謎の恩恵があるので、その時点では実は結構ありがたいことは否めません。
仲間
妖怪城でのボス戦限定ですが、オカリナを入手していると仲間に助けを求めることができ、ボス戦の間は何度でも召喚できます。
オカリナは魔境でクリア条件が残り1になった時点で上から落下してきます。3個まで持つことができ、数が増えると仲間の数も増え、1つ目でぬりかべ、2つ目で子泣き爺、3つ目で砂かけ婆が仲間になります。
仲間を呼ぶと上の順番で、1人ずつローテーションで登場します。
ぬりかべ
鬼太郎の前に立ちはだかり盾となって敵の弾を弾いてくれます。
しかし、そんなに大きくないので上空から攻撃してくることが多いボス敵には、あまり有効とは言えません。
子泣き爺
得意のしがみつきで、そこが空中であってもその場で敵の動きを停止してくれます。その為ユラユラと空中で揺れ、攻撃の当てにくいボスに対して有効です。
ちなみに動きは止めてくれますが、攻撃はされます。
砂かけ婆
砂をかけて敵の攻撃を停止させます。
こちらも大分有効な助っ人ですが、ボスの耐久力的に大体子泣き爺を出したぐらいで倒せてると思いますし、オカリナも律義に3個集める前に妖怪城へ行きがちなので、あまり見ることのないキャラです。
ただ、妖怪城へ入る為に必要な水晶玉で門を開けてくれる役目をしているのがこの婆なので、フィールドマップでは必ずお目に掛かります。
猫娘
一応ヒロインで戦闘能力も高めのキャラのはずですが、バトル要員ではなく妖怪地獄でザコを30体倒すと上から降ってくる隠し得点キャラとして登場します。
取ろうとするとなぜか蹴飛ばされますが、蹴飛ばされてもその時点で5000点貰えますし、その後も触れて蹴飛ばされてる間は何度でも5000点貰えます。
猫娘は、昨今のネコブームに加え、それを擬人化した女の子妖怪、しかも勝気なしっかり者でさりげなく主人公に想いを寄せている、好きな人には辛抱たまらん設定です。
そんなまさに現代向きなキャラをかなり昔のマンガですでに登場させていたとは…。
まぁ偶然でしょうけど。
このゲームの発売当時はアニメの鬼太郎が第3期の時代で、ユメコちゃん(本名:天童ユメコ)というアニメ版オリジナルヒロインが登場しており、上記の猫娘と同時に並んで降ってきます。
ユメコちゃんを取ると妖怪地獄から脱出することができる為、周回以降の敵の攻撃が激しい妖怪地獄では重宝します。
というか、ユメコちゃんって原作には登場しないんですね…知らんかった…。
ぬらりひょん
「ぬらりひょん」はアニメ第3期では妖怪の総大将として登場していたことで、妖怪伝承としても妖怪の頭領的な立場なのだと思い込まされてしまってましたが、実はそんなことはまったくなく、実際は人の家にソッと上がり込み、まるで自分の家のように振る舞うという何ともシラこい妖怪なのです。
水木しげる先生のおかげですっかりダマされてました。
ただ、調べると大元の原因は、民俗学者の藤沢衛彦(ふじさわもりひこ)なる人物の「妖怪画談全集」にて、ぬらりひょんの項目に付された「妖怪の親玉」というキャプションから拡大解釈されていったんだとか。
そんなぬらりひょんはアニメ第3期時代に発売されたこのゲームでは、その設定通り妖怪軍団の大将として妖怪たちを率いているはずです。
もちろんラスボス的存在のはず… ですが、エンディングが存在しないのでラスボスも不在です。
ではどこにいるのか?
特に大した疑問ではないですが、答えは妖界魔境と妖炎魔境にいます。
この2つの魔境で60秒間滞在すると、隠し得点キャラとして上から地味に降ってきて、一発当てて倒すと5000点!というとても雑な扱いをされているのでした。
高得点ではありますが…。
ちなみに得点キャラとはいえ、一応敵キャラなので触れるとやられてしまうので、間違っても取りに行かないようにしましょう。
最後に
フィールドマップ画面の単音で奏でられる鬼太郎のテーマがとてもシュールなのと、あと、アリのように小さい鬼太郎 の描写が個人的にはツボでした。
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