1989年4月 テクノスジャパン
おちゃらけ要素がほとんど無かった「熱血硬派くにおくん」からガラっとイメージを変更し、キャラを可愛くデフォルメ(2.5頭身)させた結果、よりファミコンらしいゲームに生まれ変わり、人気を博すこととなった作品。「ダウンタウンシリーズ」の元祖。
システム的に初代と大きく異なる点として、以下の2点があります。
- ベルトアクションは「ダブルドラゴン」シリーズに託され、くにおくんシリーズでは採用されていない。
- 結構細かなステータスが設けられ、アクションRPGの要素が取り入れられている。
- 初代でボスだった「りき」が使用可能かつ、2人同時プレイが可能。
敵を倒し、お金を手に入れ、アイテムを購入して、ステータスを上げる、という方法でキャラを強化することができるので、ボスが強すぎていつまでも倒せないということもなく、またアクションRPGということで長すぎず短すぎないプレイ時間でクリアすることができ、まとまりの良い作品になってます。
攻撃アクションの挙動がしっかりしていて、敵を攻撃するのが楽しいので今やっても面白いです。ちなみにデフォルメのくにおくんとしては「熱血高校ドッジボール部」の方が先に発売されてますが、こちらのデフォルメは3頭身ほどありまだ完成系とは言い難いバランスしてます。
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あらすじ
初代から数か月後、りきの彼女「マミ(島田真美)」がさらわれた。そして、りきの元へ挑戦状が届く。
マミをさらった犯人は服部竜一・竜二、通称「ダブドラ兄弟」と呼ばれる冷峰学園の番長。
冷峰学園は元々進学校だったが、最近転校してきたダブドラ兄弟によって支配されてしまっており、また周辺の高校も数か月の間に支配下に収められてしまっている。
怒りに燃え冷峰学園へ向かうりきはその道中、偶然くにおと再会する。くにおもまた古き友人に用があったのである。
ライバルだった2人は、共通の目的によって共闘する。
難易度
「やさしい」「ふつう」「むずかしい」の3つが用意されており、ゲームの途中でも変更することが可能です。(エリア移動後に効果が適用される)
適当にカチャカチャと遊びたいなら「やさしい」で頭を空っぽにしてプレイできますが、「ふつう」以上だとしっかりステータスを上げていかないと、結構すぐにやられてしまいます。
特にいきなり「むずかしい」はまさに無謀なので、ある程度ステータスを上げてからにした方がいいと思います。
敵
登場する敵は複数の高校の生徒という設定で、制服の色で区別されており、後半へ進むほど強い高校の生徒が登場します。強い高校は、落とすお金ももちろん多い。
ファミコンなので一画面内に登場する敵は2人までですが、一人一人に名前があるのと、いくつかの顔パターンとそれに対応する性格もあるという変に細かい所への凝りよう。
ザコ戦時のコツとしては、突っ走りすぎると画面端から突然現れ、いきなり攻撃を食らうのでできれば画面中央で待ち構えておく。敵はダッシュしたままパンチをするか、持っている武器を放り投げてくるので、一旦軸をズラして回避すると無駄なダメージを受けずに済みます。
場所によっては、ザコを全て倒すとBGMが変化し、ボスが登場します。
画面下の方には敵の喋るセリフが色々と表示されますが、ボスは登場時、突っ立ったままペラペラとなんか喋りますので、とりあえずその無防備状態の間に一撃食らわしてやりましょう。
当然ボスは強めなので序盤はあまり真向勝負ではなく、ダブドラシリーズ同様に軸をズラしながら攻撃の機会をうかがった方がいいかと思います。連打を食らうと意外にあっという間にやられます。
また、あるボスを倒さないと登場しないボスもいるので、もし先に進めない場合はどこかで倒していないボスがいるということなので、戻って各エリアのザコを全滅してみましょう。
エリアを戻る際、「小林産業工場跡」に限っては一見戻れなさそうな大きく空いた足場がありますが、ダッシュジャンプにも2種類あり、8歩以上走ってからジャンプするとより高く飛ぶことができるので、上の壁ギリギリにくっついてこのジャンプをすれば戻ることができます。
つまり、全エリアどこでも行き放題なので、詰んでクリアできなくなるという心配は不要です。
アイテム
交戦エリアの合間にある商店街エリア(敵がいない)には実に様々なアイテムが売られていますが、説明が表示されないので一体どのステータスが上がるのか全然わかりません。
食べ物系の場合は体力の回復効果がありそうなのは予想がつきますが、本やおもちゃ、はたまたレコードなどは買ってからのお楽しみというわけです。
考えようによっては、色んなものを買ってみてどんな効果があるのかワクワクできるというショッピング気分が味わえます。せっかちさんには耐えがたい仕様ですが。
本屋で売られている「必殺技が習得できる本」については値段は高めですが、必殺技はこのゲームの見せ場の一つでもあるので特に「マッハ」系は優先して購入した方がいいと思います。
必殺技
- まっはぱんち…ボタン1回でパンチを3回高速で繰り出す
- まっはきっく…ボタン1回でキックを3回高速で繰り出す
- まっはたたき…武器を持った状態の時にボタン1回で武器攻撃を3回高速で繰り出す
- すくりゅう…ダッシュジャンプすると回転ジャンプになり、そのまま体当たりで攻撃できる
- すとんぴんぐ…倒れた相手に重なってジャンプするとダメージを与えられる。ダメージは少ない
- にんげんぎょらい…倒れた相手を持ち上げて投げると回転しながらスベっていく。敵にぶつけた場合に与えるダメージも通常より増える
画面端まで飛んでいきます。
敵に当たっても止まりません!
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効率的なプレイ
体力がゼロになると所持金が半分になり、自動的に商店街エリアからコンティニューされます。
その際、体力が全快するという親切設計を利用して、必殺技を買って所持金をほとんど無い状態にした後は、わざとやられてしまった方がアイテムを買って回復するよりも効率がいいです。
また、パンチよりもキックの方がわずかにリーチが長い(ように見える)ので「まっはきっく」を先に買い、武器を拾った場合に備えてさらにリーチの長い「まっはたたき」を次に買います。
そして靴屋さんでは値段の高いものほど「キック力」と「素早さ」が上がるので、可能な限り高めの靴を買います。
また、「おもちゃ」は高額な割にステータスアップの効果が低い物があったりしますが、「へんしんべると」と「くまのぬいぐるみ」は「打たれ強さ」が大幅にアップするのでこれで防御力を高めます。基本はこんな感じで強くしていけばいいですが、せっかちさんはトンネルエリアの隠しショップである「謎の店」を利用すれば一気にステータスアップを図れます。但し、かなり高額なのでどのタイプに育てるかをよく考えて購入しましょう。
全く反対の方法として、「駄菓子」と「パン」はほとんどの値段が100とほぼ最低価格な上に、各種何かしらのステータスが1上がるので、まったりさんの場合はチマチマとステータスを上げていくのも乙です。
こちらは作業的な手間がかかりますが、費用対効果は高いので使用金額はかなり抑えることができます。クロワッサン 素早さ+1
カレーパン 防御+1
あんドーナツ 打たれ強さ+1
メロンパン パンチ+1
クリームパン 武器+1
ラスボスと真のラスボス
このゲームで一番印象的なのは、竜一・竜二兄弟登場時のBGMです。
ダブドラ兄弟というだけあって、そのBGMはダブドラのそれです。ダブドラをやったことがある人にとってはちょっと嬉しい演出。旋風脚は食らうと大ダメージですが、ちょっと食らってみたくなりますよね。
一人プレイの場合、ただでさえ強いダブドラ兄弟なのに、二人同時に相手をすることになるのでその手強さは推して知るべしです。
敵なのにそのBGMで胸躍らせるなんて皮肉ですな。
ちなみにダブドラ兄弟はラスボスではなく、さらに奥には真のラスボスである「山田」なる人物が待ち構えおり、実は今回の「マミ誘拐事件の黒幕」だそうで、そういえばあらすじでくにおが冷峰学園へ向かう目的は「かつての友人と会う為」とありましたが、その友人と言うのがこの山田です。
山田はステータス的には最強の数値を誇っているにもかかわらず、直前の敵であるダブドラ兄弟の印象が強すぎて、またダブドラ兄弟は二人がかりに対し、山田は一人、その比較によってとても弱く感じてしまう不遇のラスボスです。
くにおに対しては「対抗心と嫉妬」、りきに対しては「かわいい彼女がいるから」という理由で今回の事件を起こしたわけですが、ゲーム内では山田に関する伏線的な情報は一切なく、倒した後に事件を起こした理由を聞くことになるので、プレイヤーとしては倒すまではずっと頭の中で???が漂っているわけです。結局、???の答えがわかるのはエンディングのテキストで、山田は「悪のパワー」という特殊な力ですべての不良達を操作していたということですが、プレイヤーとしては特に驚くということもなくただただ思うのは一つ、ダブドラ兄弟がラスボスで終わった方がよかったんじゃない?ということです。
まとめ
問題点として、半日あればクリアできるとは言え、パスワードで保存できるのが体力以外のステータスとお金のみというのは一体何のイジワルなのかってところです。せっかく買った必殺技アイテムがキレイさっぱり無くなります。
また、マミ救出が本来の目的なので、ダブドラ兄弟を倒した後に一番右の教室に入ると軟禁されていたマミとのちょっとした会話イベントがありますが、別に入らなくてもクリアが可能です。
というのも、ダブドラ兄弟を倒すと「屋上へ行けばエンディングだ」と言ってくるので、流れで屋上へ行って山田を倒してしまいそのままエンディングになってしまうのです。「花園大橋」で長谷部にマミの居場所を聞いたのをすっかり忘れて…。
しかもエンディングでは「山田の野望を打ち砕いた」ことに終始したテキスト内容で、肝心のマミのことには一切触れず。そもそもマミを救出しなくてもクリアできてしまうというその作り。
そして後日、アレ?そう言えばマミはどこにいたっけ?となるのです。
本来の目的がいつの間にかすり変わってしまうというストーリー的にあと一歩おしい感じが残念ですが、コミカルかつ楽しいアクション部分は初代と比べてよく一気にここまで改変かつ改善できたもんだなと感心ものです。
また、このゲームに登場するボスキャラ達は後のダウンタウンシリーズにも登場し、ここでキャラのイメージを掴んでおくと他のシリーズをやった時の面白さがよりアップするので、最初にこのゲームをやっておいた方がいいです。
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