1988年12月 テクモ
「龍の一族」なる忍者の末裔、リュウ・ハヤブサが父親の死の謎に迫る為にアメリカに旅立つところから始まる横スクロールアクション。
忍者が主人公ですが、舞台がアメリカで時代も現代の為、敵も忍者とかではなく大体が荒くれ者か魔物です。
ハリウッド映画でありそうな忍者アクションの世界です。つまり、体格の大きなアメリカ人に対して、忍者という特殊な身体能力を会得している体格は小さいけれど、内なる大きな力で圧倒するという世界観です。
ですが、世界観を感じるだけで実際ゲームに登場するアメリカンチーマー達は特に大きくないのがちょっと残念。
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忍者らしい
忍者が主人公であるゲームの中でも屈指のカッコよさを誇っています。
まず主人公の装いがクールです。
いで立ちからして、よくあるまったく忍ぶ気の無い赤色の忍び装束ではなく、ちゃんと青色の典型的な忍び装束に身を包んでいます。
また、髪の毛と口を全部フードで覆っており、顔の見えている部分は目だけとなっているのも忍者であることの大きなポイントです。
そして、ファミコンゲームの忍者は大体小学生が好みそうなちょっと愉快な感じですが、リュウ・ハヤブサは愉快さを完全に排除しており、常に真剣です。
ちなみに後のシリーズである「NINJA GAIDEN」以降の彼はカッコ良すぎてもう辛抱たまりません。
腕が丸出しなのはご愛敬ということにしておいてください。
この主人公をクールたらしめている理由としては、このゲームの売りである「テクモシアター」が大きな要因です。
ファミコンのゲームは大概ストーリーは説明書に書かれているだけで、読まずにプレイすると主人公が何の為に戦っているのかわからないことが多いですが、テクモシアターのおかげで説明書を見なくてもストーリーがわかるようになっています。
テクモシアターと仰々しく銘打ってますが、要するにステージとステージの合間に、ビジュアルとテキスト(とBGM)によるストーリーシーンがあるということです。
現在のゲームでは当たり前の作りですが、容量の問題をよく触れられるファミコンで、よくここまで頑張ったもんだというぐらいよくできてます。
ちょっとしたアニメーション部分もありますし、さらにストーリーもちょっとしたドンデン返しになっているのがスバラシイ。
アクション
リュウの攻撃方法は刀攻撃が基本です。
この攻撃の発動はボタンを押した瞬間ではなく、感覚的にですがほんの少し遅れがある為、最初は敵に攻撃が当たらずよくスカります。
このゲームはかなり難しめですが、この遅れもその一因です。
そこら中にある街灯等の「ターゲット」を攻撃するとアイテムが出現し、取ると様々な忍術を使うことができます。
それは「手裏剣」だったり「炎」攻撃だったりですが、複数の技を所持して選択使用できるのではなく、最後に取った技だけ使うことができます。
最初はどの忍術も便利に感じますが、後半は選んで忍術を取得しないと結構不利になったりします。
忍術は、同じくターゲットを攻撃すると出現する「忍術ポイント」を消費することで使用することができます。
忍術ポイントは死ぬと半分に減りますし、コンティニューするともちろん0になります。死ぬ確率の高いゲームなので、使わずにポイントを減らすより、出し惜しみせずに積極的に使っていった方がいいかと思います。
アクション部分でもっとも忍者らしいのが「壁に張り付く」というアクションです。
壁に向かってジャンプすると張り付くことができ、そのまま背中側の壁にジャンプするとまた張り付き、それを繰り返して上の方の足場へ移動するというアクションはまさに忍者やってます、という感じで楽しさ満点。
但し、張り付いている間は上下移動や攻撃はできず、ジャンプしかできないのがネックです。
ちなみにジャンプ力は微妙なところで、ジャンプで足場移動する箇所でギリギリで踏み切らないと届かないところがちょくちょくあります。
忍者がジャンプを失敗して落ちて死ぬというのは何ともシュールな光景です。
難易度
最終章の難易度
このゲームは難しいともっぱら評判ですが、それは特に最終章である「第6章」のことかと思います。
通常、ミスした場合は画面の切り替わり地点から再開し、コンティニューするとその章の中間地点から始まるという仕組みのはずですが、ラスボスにやられると残機が残っているにもかかわらずなぜか第6章の最初からとなります。
第6章はラスボスに辿り着くまでの道のりがかなりの難関です。しかもラスボスは3連戦で、特に2戦目の「邪鬼王」を倒すにはかなり練習が必要だというのに、どの段階でやられてもこの章の最初に戻されます。
ですが、ラスボスの倒した段階まではちゃんと倒したことになっているので、次に辿り着いた時は続きからなのが救いです。
この仕様を知らないと、章の最初に戻された時にまさに呆気に取られること間違い無しです。
ここどこ? …え、6-1? なんで⁉ となることでしょう。
第6章は6-1から6-3という3つのステージで構成されていて、6-3の最後(6-4)にラスボスが出現します。
ラスボスは強敵ですが、そこまでの道のり自体も鬼のような難易度となっており、そこまで辿り着くこと自体できなかった人も多いはず。
それぞれのステージを画面の切り替わり箇所で分けると6-1が1エリア、6-2が4つのエリア、そして6-3は3つのエリアから構成されています。(ラスボスの部屋は1戦目と2戦目が6-4扱いで、最終の3戦目が6-5扱い)
その中でも特に6-2の3つ目、6-3の3つ目のエリア(ボス直前)のザコ敵の攻撃は熾烈です。
ですが、コンティニューの使い方で多少は生き延びる確率を高めることができます。
コンティニューは「ステージの最初から」となりますが、ミスした場合は「エリアの最初から」となるので、ラスボスを倒すには6-3のエリア3でどれだけ体力を残せているかがポイントになります。
(※初めてラスボスの部屋に入った時はなぜか体力を満タンに戻してもらえるので、最初は体力がギリギリでも強引に部屋に入っても大丈夫です。)
ラスボスにやられると残機があっても6-1に戻されることを考えると、ラスボス直前の状態がボロボロならば、ラスボスの部屋に入らずにむしろ一旦コンティニューして体力がたくさんある状態で辿り着けるまで6-3の最初からやり直した方が効率がいいと言うことです。
ちなみにコンティニューの仕様ですが、ゲームオーバーの表示が出ている時にスタートボタンを押すとそのままコンティニューになります。
まるで頻繁にコンティニューすることをあらかじめ想定したようなシステムです。
まぁ実際よく死にますし、ボタン一回でコンティニューできるので快適ではありますけど。
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その他の高難易度シーン
敵の出現位置
敵は寸分の狂い無く出現位置が決まっており、画面外から再度その位置を画面内に収めると無限に出現します。しかもほんの1ミリぐらい動かしただけで復活します。
ノックバックの激しいこのゲームでは前方の敵に吹き飛ばされて後ろの敵が再登場、そして揉みくちゃにされてやられるということがよくあります。
また、敵の攻撃を受けた後の無敵時間があまり無い上に、壁に向かって吹き飛ぶと壁に張り付いてしまい、降りようにも下に敵がいて、またノックバックで壁に…の繰り返しでお手玉のような状態になることも多いです。
あと、最も多い死亡原因が落下死で、これもノックバックによります。
鳥
このゲームで1,2を争うウザさのザコが鳥です。
鷲のような、鷹のような鳥で画面上又は下から突っ込んできます、主人公を中心に慣性の法則を伴って動いているので、避けても後ろからまた襲ってきます。
ジャンプ中にぶつかってノックバックで落下死させられたり、特に他の敵とのコンビネーションでは凄まじいウザさの敵へと変貌するなど、散々な目に合わされますがその最たる特徴がダメージ量がゲーム中で最大の「3」の敵に属していることです。
頻繁に出現する敵ですし、せめて「2」にして欲しかった…。
ちなみに他の敵のダメージ量は基本的に「1」で、「2」ダメージは、第1章から第3章までのボスの体に接触、片膝を立ててバズーカを撃ってくるやつの弾、回し蹴りをしてくるザコの体に接触・蹴り、固定された銅像の放つ弾(本体は「1」)、丸まった状態から飛び跳ねてくるやつ、です。
「3」ダメージ食らうのは、第4章のボスの体に接触・弾、第5章のボスの体に接触・弾、ラスボスのいずれも体に接触、ラスボス「邪神」の弾、円盤状(?)の武器を投げてくるザコの本体に接触・円盤、そして鳥です。
出現数や攻撃方法で比較するとやはり鳥が最も最強のザコであると言わざるを得ないです。
敵の配置
キャラ2人分ほどしかない足場で敵がウロウロしていることがちょくちょくあります。
忍術があれば何の問題も無いですが、何も持っていない場合は絶妙なタイミングで空いている空間に着地して攻撃を加える必要があるわけです。なぜなら少しでも敵に触れるとノックバックで落下死してしまうので。
特にリュウの攻撃は下方向に判定が全くないので、ジャンプして刀を振っても下方向にいる敵には当たらないのです。
特に第6章はそんなイヤらしい配置のオンパレードです。
これの対策としては、その足場の敵が画面内に収まった後はノンストップでその足場へジャンプすると、丁度敵が足場の向こう側にいるタイミングで着地することができるようになっています。
しかし逆に広い足場で敵がいる場合は、ノンストップでジャンプすると丁度敵とぶつかるタイミングになっているのでご注意を。
ちなみに最も悩ましい出現位置のザコ敵の一人が、6-2のエリア2の最初に出くわす狭い足場にいるマシンガン男ですが、ノンストップで進み、ジャンプせずに着地、すかさず攻撃でノーダメージで進むことができます。
ここは足場が一段下になっているので、ジャンプしなくても飛び移ることができるという、意外に気付かなかったテクニックを使います。
そして、もう一か所の難関が上記の次のエリア3のローブ男です。
このローブ男は、画面内に収めた後1,2歩進めてやると勝手に後ろへ下がり消滅してくれます。
思うに、このテクニックに気づかないと、ここは忍術無しでは9割ぐらいの確率でノックバック落下死させられますが、製作者の意図が知りたいものです。
ここまで忍術を持った状態で来いと?
それとローブ男が消滅した後、飛び移る時はジャンプと同時に刀を振っておかないと上から飛んでくる鳥にぶつかります。
ところでこのローブ男の直前のターゲットが2個ある場所は、後ろからダッシュ忍者、前からコウモリ、下から鳥という集中砲火ゾーンです。
さらに加えると、この3体を何とかかわして無理矢理進むと、後ろからまた忍者と鳥、その先に再度コウモリ、そして上記のローブ男、上から追加の鳥という地獄絵図を体験することになります。
ゲーム中最難関の一つと言っても過言では無いかと。
対策としては「まずは落ち着け!」です。
敵の行動パターンを覚える必要もありますが、一番重要なのはゆっくり進むことによって、敵をまとめて出現させないということです。
一気に駆け抜けようとするのは一番の愚策なのです。
印象的なボス
ブラッディマルス
ゲームのオープニングデモでリュウの父親であるジョウ・ハヤブサと戦っていた相手というのがこのボスで、第5章の最後に登場します。
「呪われた血の鉄仮面」と「死神の盾」と呼ばれる、ドラクエなら絶対に呪われた装備品であろう名前の代物を身に着けており、その攻撃方法は自分の手に稲妻を宿らせ、それを前方に向かって投げるというファンタジーな方法を用いてきます。
放電攻撃はスピードが速く、しかもちょっとしたホーミング機能も備わっていて、実質避けることができず、放たれた攻撃は必ず食らいます。
ではどうすればいいのかというと、バトルが始まったらひたすら刀で斬りまくるです。
忍術があればもっと簡単ですが、このボスは演出的な役割の為、テクニック無しで必ず勝てるようになっています。
プレイヤーの「どうやったら敵を倒せるか?」という戦術的思考が逆に妨げとなるボスです。つまり、まさかひたすら連打の体力勝負とは…と思わされたある意味画期的なボスです。
マルス「どうだい?逆にダマされただろぅ~?」
邪鬼王(ガルディア・ダ・ミュー)
ラスボス3連戦の2戦目の相手です。
ファミコンのラスボスは、最後の敵なのに著しく弱かったり、攻略法があったりするのが常ですが、このボスは珍しくこれと言った攻略法が無いなかなかの強敵です。
空中を左右に漂いながら定期的にホーミング機能を備えた炎の弾を2つ飛ばしてきます。
炎は攻撃したり画面外に行くと消えますが、中途半端にジャンプして避けるとホーミングにより次の炎発射の時も画面内に残存し、4つとか6つの炎に囲まれてお手玉のようにダメージを食らい続けることになる厄介な攻撃です。
また本体を攻撃するにも直接ジャンプでは届かないので、少し高い足場になっている砕かれた柱(3か所)からジャンプしなければならないので、攻撃のタイミングも限定されます。
というのも、むやみに敵本体に触れてしまうとダメージが一気に3減ってしまうのです。炎は当たっても1しか減らないので少なくとも本体には触れないことを優先して攻撃のタイミングを見極める必要があります。
炎はその場にいると直撃してしまうので、左右に細かく揺さぶって避けます。どちらかに避けるより、2つの炎の間に立ってかわす方が楽だったりします。
敵を攻撃する際は必ずジャンプ攻撃になりますが、むやみにジャンプすると炎が画面外に抜けきらずに残ってしまうので、炎が発射される直前で、かつ、敵が丁度いい位置にいる時にジャンプ攻撃するというのが理想的です。
あとがき
クールでシリアスなリュウですが、エンディングでの会話でまさしくハリウッド映画のようなちょっとした小洒落たやりとりがあります。
実はリュウを利用していただけのCIAのフォスターとの会話もそうですが、その後の同じくCIAのエージェントのアイリーンとの展開が、想像はつきましたが、これもハリウッド映画通りです。
うーん…リュウでもモンモンとするんですね。
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