1988年9月 ポニーキャニオン
概要
当時流行った香港映画を題材にした横スクロールアクションゲーム。
主人公の「道士」を操作して、各地で村人を苦しめている「キョンシー」を退治していきます。
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キョンシー
キョンシーとは
中国の死体の妖怪です。
風水的に正しく埋葬されていない者がキョンシーになる可能性があるとされています。
キョンシーは死体であるせいか体が硬直した状態の為、移動する際は揃えた脚の足首だけを使ってピョンピョン跳ねて移動し、バランスを取る為に両腕を真っ直ぐ前に伸ばしています。
性格は凶暴ですが目が見えないので、嗅覚を使って人間の吐く息を察知して襲ってきます。
そんな時は道士が特別に作った「御札」をキョンシーの額に貼ることで活動を制御することができます。
これは、中国に「一部地域の出稼ぎ労働者の遺体を故郷に移動させる際に道士が呪術を用いて遺体を自ら歩かせた」という伝承から設定されたのかと。
これを利用することで、暴走しているキョンシーに対して、御札を貼ったキョンシーで制圧するという手段も可能になります。
攻撃方法
主な攻撃方法は真っ直ぐ前に伸ばした腕での突き攻撃ですが、硬直しているとはいえ、間接部分はある程度動かすことができ、肘を一瞬折曲げて反動をつけるように突いてきます。
気を付けるべきはツメで、毒素が含まれている為、ツメによって傷を負った人間はそれが原因でキョンシー化してしまいます。
また、噛み付かれて傷を負った場合も同様で、吸血鬼やゾンビなどの設定が色々混ぜ合わさったものになっています。
ただ嬉しいことにゾンビのように傷を負ったら必ずキョンシー化するわけではなく、ゆで卵やもち米などを用いて適切に対処すれば治療することが可能です。
特殊事項
キョンシーは転倒すると、起き上がり小法師 (おきあがりこぼし) のように人間にはできない動作で起き上がります。
これは硬直した体だと、背中を折り曲げることができないからです。
体を一切曲げることなく起き上がるので不気味さ満載ですが、この動作はピョンピョン移動と共にキョンシーを象徴する動作の一つです。
さらに、この「硬直」はキョンシーにとっては防御動作を行う必要が無いという設定に繋がっています。
つまり、硬いので普通の打撃攻撃が効かないということです。(たまに例外キョンシーが存在し、硬直が解けて普通に動いたりすることもあります。)
ちなみに他にも例外キョンシーを挙げると、視力が戻り攻撃を避けることができたり、最終的には飛翔能力まで持ってたりします。
衣装
基本的には死体がキョンシー化して動き出す為、埋葬時の衣装で登場することになります。
その為、大体のキョンシーは中国が清の時代の満州族の正装を身に着けており、キョンシーと言えばこの格好ということでほぼ定着しています。
ゲームの流れ
村を訪れる → 「こほうしょ」を手に入れる → 「道場」で技を覚える → ひすいの玉を3つ集める → ボスキョンシーと戦う → 次の村へ となります。
キョンシーは村の建物に潜んでます。
建物内は部屋が横に連なっていて、1部屋に1体ずつ出現し、次の部屋がある場合はまた1体だけ出現する、というようにキョンシーは必ず1体ずつで出現しますが、最初は2部屋ほどでキョンシーの退治完了となりますが、後半の村になってくると5部屋~6部屋あったりして少々面倒くさくなってきます。
キョンシー1体倒すのにそこそこの手数が必要なので。
「村人のいる建物」を解放した場合は「こほうしょ」や特殊アイテムが貰えます。
こほうしょ を持って「道場」へ行くと技を教えてもらったり、能力をアップできたりしますが、道場に入るにはなぜかクイズを出題され、正解しないと入れません。
出題内容はキョンシーに関するものや、中国に関するもの、武術に関するものとなっています。
たまに「へぇ~そうなんだ」ってなるものもあります。
「村人のいない建物」を解放すると「ひすいの玉」なる赤い玉を入手することができ、これを3つ集めることでボスキョンシーの建物に入ることができます。
ちなみに映画の霊幻道士では2人の弟子が登場しますが、このゲームでは1人だけ登場しており、見た感じや言動からダメな方の弟子ですが、ゲーム内の村人のセリフや、シャンシーの誘惑対象にもなっていることからすると、おそらく2人を1人にまとめたキャラとして登場させているのだと思われます。
シャンシーとコンシー
シャンシー
映画の設定では、20歳という若さで死んでしまった美人の女幽霊です。死亡原因は不明。
映画ではカッコイイ方の弟子のとあるやさしさに触れ、幽霊でありながら彼に恋をしてしまいます。
術で相手をコントロールしたりと、女性としての狡猾さも持ち合わせており、何とかして弟子を自分のものにしようとします。
普段は生前の美人で綺麗な女性の姿をしていますが、残念なことに怒ると顔の半分がただれ、髪は針のように逆立った醜い姿になってしまいます。
この髪の毛は自在に操ることができ、人を縛り、持ち上げたりもできます。
ジョジョに出てくる「黒騎士ブラフォード」か「山岸由花子のラブ・デラックス」みたいな感じです。
また、頭部を分離して飛ばして攻撃することもできます。
あと少しで弟子を完全に自分のモノにできるというところで道士にやられてしまいますが、弟子は若くして死んだシャンシーに同情しており、道士もとどめをさすのを弟子に任せたり、何よりシャンシーは幽霊として人間をたぶらかしているわけではなく、弟子がキョンシーに襲われていた時は必死に助けに行ったりと本気で恋をしており、何だか切ない物語部分となってます。
ところで、道士にとどめを委ねられた弟子はそれを拒否し、シャンシーを逃がしてやります。
成仏というか、消滅させられなかったシャンシーですが、未練を持ったまま幽霊として過ごすのと、一体どちらが幸せだったのでしょうか?
コンシー
ゲームではシャンシーを倒すと「鈴」を入手でき、この鈴を使うと「コンシー」というミニキョンシーを仲間にすることができます。
このコンシーは非常に弱いです。弟子とはまた違うタイプの役立たずキャラです。
移動ジャンプが恐ろしく遅く、攻撃力もスズメの涙ほどで、ザコキョンシーですら倒すのが至難の業です。
ボスキョンシーに至っては、例えば遠距離攻撃を仕掛けてくる場合などは近づくことすらできません。
なぜこんなキャラを登場させたのか?
カワイイからですね。
ちなみに映画では、御札を貼って動きを制御しているキョンシーのことをコンシーと呼んでいます。
ザコキョンシーとボスキョンシー
ザコキョン
種類は6種類で、普通1、普通2、チビ、デブ、ノッポ、猫背でそれぞれ色が違ってたりします。
ボスキョンと倒した後の弟子のセリフ
天門の村(1)
残像を残しながらスローなジャンプ移動をします。なんかカッコイイです。それ以外は普通です。
「やったぁ!さすが先生だ!この調子で片っ端からやっつけて 早くゆっくりしましょう。」
冥州の村(2)
キョンシーのクセにナイフを投げてきます。しかも、ヘタクソなのかナイフは放物線を描いてきます。
「さすがは先生!あんなすごいヤツをやっつけてしまうなんて!うーん、村の人々の喜ぶ顔が目に浮かぶなぁ。」
永逞の村(3)
変わった攻撃はしてきませんが、外でカミナリが発生しています。よくわからないボス設定です。
「すごい!すごい!先生は強いですねぇ!こういうのを、向かうところ敵なし、略して 無敵と言うんですね!」
玄省の村(4)
キョンシーの姿をしていないヤツが登場します。人の姿をしていますが、頭髪部分がボーボーで猿のようにも見えます。そして、すごい音を鳴らしながら低空を滑空して体当たり攻撃をかましてきます。見覚えが無いキャラですが強いです。
「やっと半分倒しましたね。この先は手ごわいヤツが多そうですが、気合を入れていきましょう。ふぁいと!ふぁいと!」
呂雲の村(5)
ジャンプ移動の着地の際に地響きを鳴らす重そうなキョンシーです。この着地の際に道士が地面に立っていると転ばされてしまいます。また、攻撃を喰らうと画面端まで吹っ飛んでいくほどの怪力キョンシーです。
「いやぁ、先生にかかったらキョンシーなんてかるいもんですねぇ。僕も早く先生みたいになりたいなぁ。」
洛黄の村(6)
2つ前の玄省の村のタイプのボスで、今度は斧で攻撃してきます。飛んでくることはないです。斧の振り方がヘンです。
「うーん、いつ見ても先生の戦いは興奮しますね。蝶のように舞、蜂のように刺す。見てるだけで疲れちゃいましたよ。」
邪都の村(7)
手の平で炎を作り出し、それを飛ばしてきます。ナイフを飛ばしてきたボスとは違い、炎はしゃがんで避けられないので少々厄介です。
「やったぁ!とうとうここまでやってきましたね。残る村は一つだけ!ここまで来たら一気にやっつけてしまいましょう。」
武龍の村(8)
ラスボスです。「オーボー」と言う名の女妖術師で、実はこのゲームのキョンシーを操っていた悪の根源です。攻撃方法は先ほどの炎を飛ばすボスと同じようなものですが、姿を消してワープ移動してきます。姿を現した際にそこにいるとダメージを喰らいますので出現位置を見計らって避けましょう。
この後はそのままエンディングへと繋がる為、弟子のセリフは無いです。
このゲームの魅力
全く戦わず口ばっかり動かして何の役にも立たない弟子ですが、そのおバカなセリフはたまに笑えます。
また村人のセリフや、ゲームのメッセージもなかなかのセンスです。
「道士と弟子」編
例1
村人
「墓場では、恋を知らずに死んだ娘の霊魂が若い男を惑わしているのですが、ご存知でしょうか?」
「はい」を選択 → 村人「そうですか、それはよかった。」
弟子
「先生は、そういう話には耳ざといのです。」
"道士は、この先もこのまぬけな弟子を連れ歩かなければならないかと思うと目の前が魚眼レンズになってしまった。"
例2
村人
「いよいよ ふぁいなるばとる が近いです。ふんどしのひもを締めなおして、気合いを入れてください。」
弟子
「先生、僕 ぶりーふ なんですけど、どうしましょう?」
道士
「だまれ未熟者め!」
"そう言いながら道士はトランクスのゴムをぐっと握った。"
ゲームオーバー時
弟子
「全く、なんて弱くて情けない先生だ!仕方が無い、今日から僕が本家本元霊幻道士としてキョンシーどもをやっつけにいこう!ははは、冗談ですよ。慌てても仕方がない。どうしのこころを読んでじっくりとキョンシーの傾向と対策を練りましょう。」
道士
「ばかもの!ほんのちょっと油断しただけじゃ。貴様が道士を名乗るなど10年早いわい!さあ、旅を急ぐぞ。ぐずぐずしてないで、付いて来い!」
「村人」編
チャイナドレス姿の村人
「助かりましたわ、脳下垂体がぷるぷるしていましたのよ。」
村人
「うおうおうおう 興奮するぜ!すぽぽーん 鼻血が出るぜ!!○○さんよお。あのきょんしーってやつをなんとかしてくれよお!ぼこぼこのうりうりにかためてよお、しめてやってくれよお!」
先生
「必殺の奥義を教えよう。全身の えねるぎー を拳にあつめ こすもぱわー を最大にし、キョンシーのひこうをうつべし!うつべし!うつべし!うつべし!うつべし!うつべし!うつべし!うつべし!うつべし!うつべし!うつべし!うつべし!うつべし!うつべし!じゃ。」
おかしなセリフが多いように感じますが、実は映画でも道士達は結構コメディちっくな言動をしているので、あながち間違いではないと思います。
またキョンシーはホラーメイクがバッチリでちょっとコワイですが、そうでないコミカルなキョンシーもいたりします。
幽幻道士
「霊幻道士」は香港映画ですが、これに影響を受けて製作された台湾映画で「幽幻道士」というほとんどパクリのような映画があります。ですが、こちらは本家からさらにエンターテインメントの幅を広めてあったり、登場キャラの種類が増えてたりして、結果的に本家より話題になったのでは?
例えば、道士さまはいますが、その孫である「テンテン」という少女版道士がその可愛さから一世を風靡しましたし、主役を孤児の4人組の子供たちという設定にし、少年たちがカンフーを交えた連携プレイでキョンシーと戦ったりするなど。
また人間の力では太刀打ちできないとなると、特別な術を用いて子供達を特殊霊魂化して圧倒的な戦闘力を得たりと、まるでマンガです。
当時は、似たようなタイトル、どっちもキョンシー、どっちも中国語、ということでてっきり同じシリーズと思ってました。
そんなキョンシーですが、いまだに中国系のモンスターとしてその後のゲームなどに登場するなど、かつての「キョンシー」ブームの影響力は凄いなと感心する今日この頃です。
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