スプラッターハウス わんぱくグラフィティ - これはただのパロディではなかった!
2017/12/19
1989年7月 ナムコ(ナムコット ファミリーコンピュータゲームシリーズ第64弾)
概要
映画「13日の金曜日」のジェイソン・ボーヒーズのような姿の主人公リックが、悪魔にさらわれた恋人ジェニファーを救出に向かう横スクロールアクションゲーム。全7面。
内容見た目共になかなかのホラーゲームだったアーケードゲーム「スプラッターハウス」をファミコンに移植したもので、その残虐描写は容量的にもちろん再現できないので、ファミコンっぽく大幅にアレンジされています。
また絶望感しかなかったオリジナルですが、タイトルを見てもわかるようにファミコン版はとてもポップな感じに仕上がってます。
現在ではまるで実写のようなグラフィックのホラーゲームは当たり前で、どれだけうまく残虐描写を演出するかが焦点になっていますが、この時代はホラーゲームそのものが珍しく、敵を倒したらただ消えるのではなく、真っ二つになったり壁まで飛んで行って液体をぶちまけて潰れて死ぬなど、ちょっとマセた少年達の心を激しく揺さぶったのであります。
そんな異色の作品ですが、ファミコンに移植されると本来のタイトルの後ろに雰囲気を破壊するような「わんぱく」なる言葉が追加されており、どう考えてもあの不気味な世界観と合っていません。
なかなか頭の悪い子だった私は、ファミコンであのクオリティのゲームができることを期待していて、「わんぱく」なる言葉やパッケージがやたらと雰囲気が違うことを何かの間違いと思い込み、わずかな貯金をはたいて購入に踏み切ったのです(中古ですけど)。
そしてスイッチを入れて、プレイしてみると…
いつもの通りのファミコンファミコンした横スクロールじゃねーか!?
となったわけです。
大人になった今でも事前情報を得ずに物を買ったりして後悔することがありますが、当時からすでにそんなんだったようです。
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そしてオリジナル版のあのジェイソンの姿ですが、情報を得ようとしない私はてっきりジェイソンが主人公と思っており、ふとジェイソンが一体何しに戦っているんだろうと思ったわけです。
今で言う「エイリアン対プレデター」的な、モンスター対モンスターみたいなストーリーかな?と勝手に想像してましたが、ある時あのジェイソンは女性を助ける為に戦うゲームであるということを知りました。
何!?あの殺人鬼ジェイソンが女性を助ける?
有り得ない!
もはや意味不明になってきましたし、ジェイソンがなぜ人間を助けるのか気になってしょうがなくなった私はようやくこのゲームのあらすじを読みました。
「殺された主人公がヘルマスクの力で蘇り、さらわれた彼女を助けに行く。」
全然ジェイソン関係ないやん。
ヘルマスク?
ホッケーマスクやん。
…やっぱりジェイソンやん!
オープニング
リックの墓の前で嘆き悲しむジェニファー、しばらくするとリックの墓にカミナリが落ち、リックはそのショックで蘇ります。
一瞬何が起きたのかお互いに理解できなかったものの、起き上がったリックを見たジェニファーは飛び跳ねて喜ぶ、というオープニングです。
すでにここだけで「よかったねジェニファー」とちょっとホロリとなるのは私だけでしょうか?
しかし、カミナリはリックだけでなく隣の墓にも落ち、ラスボスである「かぼちゃ大王」まで蘇ってしまい、なぜかそこにいたジェニファーをさらっていきます。
かぼちゃごときが一体何の目的でジェニファーをさらったのか?
ちなみにアーケード版では、ヘルマスクによって蘇った主人公ですが、ファミコン版では蘇ったリックはすでにヘルマスクを装着しており、もはや装着しているいきさつは関係なく、単にヘルマスクを被った主人公ということになってしまっています。
システムとアイテム
ちょっとしたレベルシステムがあり、敵を倒した数によってレベルがアップし、ライフの上限が増えていきます。その為残機システムは採用しておらず、ライフが無くなるとゲームオーバーとなります。
コンティニューは回数に制限がありますが、ステージクリア毎にパスワードを教えてもらえるので、それを入力するとまた再開できます。但し、パスワードで再開した場合はライフ数が初期値に戻ってしまうというペナルティ有りです。
ライフを回復するアイテムとして、アメちゃんとかハンバーガーが出現します。
アメちゃんは1ライフ回復、ハンバーガーは4ライフ回復します。
ポップですね。
かと思えば、この世界には似つかわしくないショットガンがたまに落ちていて、派手にぶっ放すことができます。ショットガンは貫通力があるので、前方の敵をまとめてやっつけることができますが、弾数は10発とすぐに無くなるちょっとしたサービスアイテムです。
映画のパロディ
このゲームでは敵のモデルが主に映画のパロディだったりします。
ステージ1
ドラキュラ
ゾンビダンサーを率いたドラキュラが奈落から登場し、30秒もの長い間彼らのダンスを見させられます。
その間自分は動くことができますが、攻撃は当たらないので、ただただジッと終わるまで待つしかないです。
ダンスが終わるとようやくバトルになり、攻撃範囲外にいるドラキュラの「鬼は外」攻撃を避けながら次々と登場するゾンビを一定数倒すと、ドラキュラがまた奈落に戻っていきます。
戻って行く際はなぜかピースをしています。
これはマイケルの「スリラー」のPVなんでしょうね。
ダンサーがゾンビですし。
わかりやすい。
マイケル役がドラキュラなのが意味不明ですけど。
「スリラー」のPV、面白いですよね。
ポルターガイスト
物が勝手に飛び回るというアレです。椅子が攻撃してきます。
またベッドに座っている少女の首が取れ、飛び回って椅子と一緒に攻撃してきます。
首が取れる際にクルンと回るところはちょっと映画「エクソシスト」も入っているかと思います。
映画の方は、首が180度回るシーンは地味ですが怖いです。
ステージ2
チキン
オーブンから次々と首無しのチキンが飛び出し襲ってきます。しかし、本体は空飛ぶ包丁×2本で、こちらを攻撃しないとダメージが与えられません。
これも映画のパロディのようですが、聞いたことの無い映画です。
包丁が飛び回るのは地味に怖いですが、チキンが襲ってくるというはホラーなのか?と問いたいです。
否!
ホラーはB級テイストが含まれてこそでしたね。
ステージ3
フェイスハガー
横たわった女性のお腹を突き破って、クモのような敵が次々と飛び出してきます。
このクモは映画「エイリアン」に登場する「フェイスハガー」と呼ばれるクリーチャーがモチーフです。
ゲームではただのザコですが、複数で攻めて来られたらいくらジェイソンでもコイツには勝てないでしょう。
あの生命体はヤバイです。
それとこの横わたっている女性は「ドルアーガの塔」のカイだそうです。
全部倒すとカイは普通に起き上がり、あくびをし、お腹を出したまま(服が破れているので)歩き去っていきます。
うーん…全然カイに見えない…。
思うに「エイリアン」はホラー映画ではないと思います。
ハエ男
映画「ザ・フライ」のハエ男のパロディです。
物体を転送する装置を発明した博士が、自らを実験体として転送装置に入った結果、密かにハエも一緒に入っていたことが原因で、細胞レベルでハエと融合してしまい徐々にハエ人間になっていくという映画です。
この映画は何度か見たので、一番なじみ深かったです。
ちなみにこの映画もホラーで気持ち悪いですが、見ている内にモンスターに同情してしまうストーリーを含んでおり、ちょっと可哀想なホラーです。
ステージ5
レジェンド
ここのボスはモンスター界の有名人、狼男です。
オオカミ男と言えばコレ。
しかし、その正体は「妖怪道中記」の主人公「たろすけ」です。
…言われないとわかりません。
ステージ7(最終ステージ)
ジェニファーをさらった「かぼちゃ大王」がラスボスです。
かぼちゃから連想するホラー映画といえば「13日の金曜日」「エルム街の悪夢」に続く3大ホラーの一つ「ハロウィン」ですが、この映画を私は小さい頃にうっすら見て以来、その後のシリーズは全く見ていないのであります。
今回ゲームをやって思い出したので、これを機に見てみましょうか。
(※)ブギーマンは「おネエ」ではありません。
隠しステージとクリスタルボール
このゲームはなんかに似てるなと思ってましたが、先ほど登場した妖怪道中記ですね。
キャラの挙動とかがなんか似てます。
ですが、ゲームの難易度ははるかに易しめで、グニョグニョした敵同様、ファミコンゲームにしては全然歯ごたえは無いです。
それとさらに妖怪道中記を彷彿とさせるのが、隠し面である「日本」ステージのお姫様です。
食事と踊りでおもてなししてくれます。
さらにタイトル画面からの裏技で「テストモード」を実行すると、登場キャラのグラフィックを見ることができますが「お姫様」のところでAボタンを33回押すと男子にとって良い事が起こります。
妖怪道中記の「乙姫様」と「雀のお宿」を足したような感じですかね。
(「テストモード」は、2コンの下とABボタンを押しながらリセットです。)
また、もう一つの隠し面である「エジプト」ステージでは最後にクレオパトラが艶めかしい姿を披露してくれます。
この裏ステージではそれぞれの姫様からクリスタルボールと呼ばれる物をもらえます。
1つ取るごとに隠しエンディングを追加で見ることができるようになります。
裏ステージの行き方
日本
ステージ3でハエ男を倒した後、クリアせずに左側の転送装置に入る。
エジプト
ステージ7の床の穴に落ちる時、下には敵司祭が待ち受けており、接触すると捕まってしまい裏ステージへ行けなくなってしまうので、十字ボタンの左を押しながら落ちます。
その後は敵司祭に触れないように後をつけて、パカパカなっているドアに入るとエジプトに行けます。
エジプトはピラミッド内に部屋が3つあり、普通に進むと最後にクレオパトラに会ってクリスタルボールを貰うことが出来ます。また、2つ目の部屋のドアのすぐ左隣に隠し扉があるので、そこへ入ると3つ目の部屋を省略してクレオパトラに会うことも出来ます。
もし日本で1つ目のクリスタルボールを取っていない場合、この隠し扉に入ると日本ステージに自動的に繋がり、1つ目のクリスタルボールを貰うことが出来、その後ピラミッドの3つ目の部屋に戻ってくることになるので、ここで2つとも取ることもできます。
エンディングネタバレ
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クリアするとジェニファーを無事救出し、そしてお約束の抱擁をし合ってハッピーエンディングかと思いきや、突然画面が明転します。
そこは照明やらカメラなどの設備が整っており、「カット!」の声が響き、そして監督が登場し、こう言います。
「なかなかの演技だったよ、いい映画になった、ナイス!」
その後仮面を外したリック、そして人々が去った後、仮面が一人で浮かび上がり、不気味な声でひたすら笑いまくるのでした。
隠し追加エンディング
1つ目のクリスタルで、2人が幸せに過ごしている風景が映し出されます。
2つ目のクリスタルで、「とある館」へ向かう姿が描かれています。そう、この館はアーケード版の舞台である「スプラッターハウス」です。
つまり、ファミコン版はアーケード版の前日譚だったわけで、単なるパロディではなかったのです!
ということは、最初から装着していたあのマスクはヘルマスクではなく、単なる映画の小道具だったわけですね。
いや、でも、最後に浮かび上がって笑ってたし…。
それともヘルマスクが偶然、映画の小道具に紛れ込んでいたとか?
…とにかくわかったことは、ナムコはなかなかサービス精神が旺盛であるということです。
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