1993年3月 任天堂 (開発:HAL研究所)
任天堂を代表するゲームソフト「星のカービィ」シリーズのファミコン第一弾。未だ人気は衰えず現役バリバリです。
ピンク色をした真ん丸ポヨポヨで無駄を一切省いたその可愛らしい姿の主人公カービィですが、明らかに「子ども向けです」的なパッケージングによって私は少し…イヤ、正直なところかなり抵抗感を持っていました。
ファミコンと言えば、剣とか銃を使ったり、もしくは拳をかわしてビシバシやるのが面白いんじゃないか!という考え方です。こんなピンクまみれで、さらには星、星、星ですよ。
しかし任天堂は、マリオだけでなくこのカービィの新作ををいつまでもリリースし続けているわけですよ。
こんな子供ダマしのキャラのゲームがそんな面白いわけがない!と食わず嫌い改め、やらず嫌いをしていたものの、やっぱりちょっと気になってきたのでとりあえずファミコン版をやってみたところ…
めちゃくちゃ面白かったです。
なんすかコレ?ファミコンってここまでできるものなんですか?
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パッケージングが醸し出している通り、まさに親子で楽しめそうなぐらい明るいゲーム内容で、ファミコンお約束の理不尽な難しさなどほとんど無いです。
体力メーター有りで残機数も多め、コンティニューもやり放題でステージをクリアすると自動でセーブまでしてくれます。
敵に一切触れることなく刹那のタイミングで攻撃する機会を伺うなんてことはやらずに、カチャカチャとやってるだけでもクリアできちゃうんです。そして程よいボリューム。
理不尽なシステムと高難易度ありきでこそファミコンゲームですが、そんな中でたまにカービィのようなゲームをやると…
なんと癒されることでしょう!
もうカービィが可愛くてたまらなくなること間違い無し。
そんなカービィが冒険する理由は、
「毎晩楽しい夢を見ることができるプププランドで、ある日を境に住民たちは夢を全く見なくなりました。夢の泉に立てられた、楽しい夢を作り出していたスターロッドをデデデ大王が奪い去った為です。住民であるカービィは、住民の為、また自分の為にもスターロッドを取り戻すべく立ち上がったのでした。」
ファンタスティック!
豊富なグラフィックパターン
ただの癒し系アクションゲームというだけでありません。ゲームシステムとしても意表をついており、敵を吸い込んでその敵の能力をコピーするという仕組みがまた面白かったのであります。
しかも結構な数の種類をコピーすることができ、それぞれ特有のアクションをカービィがしてくれます。
ここで思ったのが、ファミコンってこんな豊富な表現って可能だっけ?ということなのです。
私はそれほど機械の能力的な事に詳しいわけではないですが、ファミコン初期だと「ドラクエ1」では主人公がカニ歩きなのは横と後ろ姿のグラフィック容量を節約したとか、文字が全部ひらがななのも容量節約、というような涙ぐましい努力で512キロビットに収めていたとのことです。
また当時「がんばれゴエモン」の2メガビット=2,048キロビットというのがとても「大容量」だったそうです。
この辺がファミコンソフトの一般的な容量だったようですが、カービィはなんと6メガビット≒6,144キロビット。しかもそれでもかなりの工夫を凝らしてあの豊富なグラフィックを実現させているとのことです。
ファミコンって一応そんな容量まで可能なんだなぁと初めて知りました。ついでに調べるとファミコンは、スペックとしては8メガビット(たったの1メガバイト)が最大なんだとか。
ちなみにこのカービィの発売は93年とほとんどファミコン末期で、すでに90年にはスーパーファミコンが発売されており、94年にはプレイステーションが発売されるという家庭用ゲームというものの進化がスゴくなりつつあった時に発売されたわけですね。
ところで後で知りましたが、ゲームボーイ版には敵の能力をコピーするシステムは無く、さすがにゲームボーイでは無理なのかと思ったら「星のカービィ2」では普通に実装されてるんですね。
敵とコピーできる能力
初めてプレイするとどんな能力があるのか気になって、とりあえず片っ端から敵を吸い込みまくること間違い無しのゲームシステム。ゲームの後半になると人それぞれ能力の好みが分かれていくと思われます。
ザコ敵
・ホットヘッド
イノシシかブタと思ってましたが、顔の出っ張りはブタの鼻ではなくタコの口だそうで、どちらかと言うとタコっぽいやつのようです。
能力は「ファイア」で、前方に向かって炎を吐きます。「炎攻撃」はとりあえずゲームに無くてはならない存在ですね。
・スパーキー
手を持ったスライムと見せかけて、手に見えた部分は電気を発生させる器官だそうです。
能力は「スパーク」で、自分の周囲を覆うように電撃を発生させます。
まさしくブランカ。
・ワドルドゥ
「デビルワールド」に登場する「メダマン」っぽい一つ目の敵。
能力は「ビーム」で、前方に向かってビームで攻撃します。
・ソードナイト、ブレイドナイト
ほぼ1頭身なのに剣を振る姿が妙に勇ましく、敵ながらカッコいいやつです。
能力は「ソード」で、剣で攻撃できます。ジャンプ中に攻撃すると回転切りになり対空攻撃が有利になります。
カービィが剣を振るというギャップがたまりません。
・サーキブル
西洋の鎧の頭部の形をした敵で、ブーメランタイプのカッターを投げてきます。
能力は「カッター」で、敵と同じように攻撃できます。攻撃範囲が広く、射程が剣より長く、3連射することができる無難な能力です。
・パラソル
見たままの傘で、基本的に他の敵(ワドルディ・ワドルドゥなど)がパラソルを持って上からユラユラと降下しながら登場します。
能力は「パラソル」で、傘で攻撃できます。また一旦攻撃して傘をさした状態になるとそこに攻撃判定が備わっている為、上からの攻撃を相殺することも可能なので、上に向かって進むステージではかなり役立ちます。
また落下する際はゆっくりユラユラと降下することができます。
メルヘンの極みですね。
・フレイマー
壁沿いを移動しカービィを見つけると炎をまとって飛んでくる無機質な感じの敵です。
能力は「バーニング」で、炎をまとって敵に体当たりします。スピードが速く、そこそこの距離を突進するのでなかなかの使い勝手の良さです。
・ペンギー
ちょっとペリカンの混じったペンギンです。冷気を吐き、当たると凍らされます。
能力は「アイス」で、前方に向かって冷気を吐き、敵を凍らせることができます。凍らせた敵に触れると一直線に飛んでいきそれで敵を倒すこともできます。
このゲームでは凍らせて飛ばすですが、凍らせて砕くという演出も欲しかったところです。
・チリー
雪だるまです。ペンギーとは少し違って、自分の周囲を冷気で覆って、そこへ触れると凍らされてしまいます。
能力は「フリーズ」で、冷気で周囲を冷気で覆い、それに触れた敵を凍らせます。
・スパイニー
ほぼ、マリオのトゲゾーです。
能力は「ニードル」で、トゲをまとって身を固めます。使用頻度は少なめですね。
・ウィリー
目玉つきの車のタイヤそのままです。結構な速度で動き回っています。
能力は「ホイール」で、直角の壁にぶち当たるまで高速で転がって行きます。カービィのダッシュ性能は、マリオと同じく1マスの空間なら落下せずに走り抜けることができ、このホイールもしかりです。
方向転換は可能ですが、ジャンプができないので使用できる場所は限定的ですが、その疾走感はなかなかのものです。
・ツイスター
よくわからない形ですが、竜巻っぽいフォルムの敵です。それほど登場する機会は多くない希少種です。
能力は「トルネード」で、竜巻になってホイール並みの速度で一定時間空中を飛び回れます。元に戻るタイミングをミスらなければほとんど無敵ですが、動きが速いので制御しきれずにミスすることも多いです。
・ロッキー
岩です。カービィを押しつぶそうとしてきますが、岩になると動けません。
能力は「ストーン」で、主な攻撃方法は敵の頭上で岩に変化してどすんと落下する押し潰し攻撃です。岩になっている間は無敵ですが動けないので、ドラクエでいうところのアストロンな感じです。
・レーザーボール
レーザーを撃ってくるボール型の敵です。あえて例えるならガンダムのハロです。
能力は「レーザー」で、威力が弱いですが射程が長く、さらに斜めの壁に当たると反射して飛んでいきます。
・スターマン
もはやファミコンのグラフィックではその形を確認することが不可能なフォルムの敵です。名前からすると星の形をしたやつなんでしょうね。
能力は「ハイジャンプ」で、その名の通りめちゃくちゃ高くジャンプできます。ジャンプの上昇中に攻撃判定があるので、なかなか使える能力です。
・バブルス
目のついた丸い物体の、楽しそうな顔した敵で、ボールのように跳ねて近づいてきます。チンパンジーではないです。
能力は「ボール」で、ボールに変形しAボタン押しっぱなしで跳ね続けることができます。上昇中下降中どちらにも攻撃判定がありますが、ある程度勢いよく跳ねていることが条件となっているので、ちょっとわかりづらい仕様です。それほど使うこともないでしょう。
・UFO
コピーできる能力が強い為、ゲーム中一番の希少種で、ステージをクリアすると能力も消えます。扉を戻っても再出現しませんが、ステージ自体に入り直すと一応出現するので、そのステージに限り能力を満喫することができます。
能力は「ユーフォー」で、常時空中に浮かんでいて上下左右自由に移動可能で、ボタンを押す長さによって段階的に強くなるビーム攻撃が可能です。
・ボンバー
自爆タイプの敵です。カービィを発見すると地面に向かって落下し始め、地面に当たると爆発し有効範囲内にいるキャラ全部にダメージを与えます。通常攻撃が効きませんが、着地する前に吸い込めば爆発を防げます。
能力は「クラッシュ」で、爆発して画面内の敵全てを攻撃できますが、その高威力ゆえに一回限りの能力です。また画面の点滅が結構激しいのでご注意を。
・クールスプーク
暗闇ステージで空中散歩しているだけの敵です。「スプーク」とは何ぞや?と思い、調べると「オバケ」を意味するそうですが、クールスプークを調べたところその姿はほぼてるてる坊主でした。そしてなぜかサングラスをかけている。
能力は「ライト」で、使用すると暗闇ステージが明るくなります。これは能力なのか?
・ノディ
歩いては眠るを繰り返している全く敵意を感じないタイプの敵です。
能力は「スリープ」で、使用するとカービィがその場で眠ってしまいしばらく動けなくなります。
ハズレ能力というやつです。
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中ボス
・ポピーブロスSr.
ポンポン付きキャップを被った体のあるパックマンで、左右に跳ねながら爆弾を投げてきます。
「クラッシュ」をコピーできます。
・Mr.フロスティ
サスペンダーパンツを履いたアザラシで、氷を投げ飛ばしてきます。他にもカービィを吸い込んで吐き飛ばしたり、体当たりなんかもしてきます。
「フリーズ」をコピーできます。
・グランドウィリー
ウィリーの大きい版で、突進攻撃がメインです。ウィリーを吐き出してきますが、ボス攻撃用なのでここでは能力をコピーすることができなくなっています。
倒すと「ホイール」をコピーできます。
・Mr.チクタク
置時計の形をした敵で、体当たり突進後にごく狭範囲の衝撃波を発生させたり、音符を飛ばして攻撃してきます。音符を吸い込んで攻撃しましょう。
「マイク」をコピーできます。
マイクはカービィの叫び声による画面内全体攻撃ですが、クラッシュよりは弱い3回限定の能力です。
・ボンカース
ハンマーを持ったゴリラで、ハンマーとヤシの実で攻撃してきます。ハンマーで攻撃した際に発生する「星」はただのエフェクトではなく、吸い込んで攻撃できることに気づいたのはちょっとした発見でした。
「ハンマー」をコピーできます。カービィが自身以上の大きさのハンマーを振り回す様はなかなか愉快です。
・バグジー
クワガタのレスラーで、接触すると掴まれて投げ飛ばされたりバックドロップされたりします。他には、体当たりからの掴んで投げ飛ばしだったり、こちらの攻撃用にてんとう虫を発生させてきます。
「バックドロップ」をコピーできます。攻撃すると敵を掴み、十字キーとの組み合わせでバックドロップだけでなく、いくつかのプロレス技を使うことができます。
カービィらしからぬパワー系能力です。
・ファイアーライオン
炎をまとったライオンです。他のゲームで言うところのいわゆるケルベロス的な感じでしょうか。でも攻撃方法は引っかく、突進する、捕まえて噛みつくなど普通にライオンです。
「バーニング」をコピーできます。
・ローリングタートル
今度はカメレスラーです。接触すると掴まれて投げ飛ばされます。
何回か戦うことになりますが、レベル6「オレンジオーシャン」でのバトルでは足元が水になっているので、飛ばしてくる子ガメを吸い込むには軽くジャンプしないとならないので、微妙に戦いづらい気もしましたが、このバトルはそもそもスルー可能です。
「スロウ」をコピーできます。「投げる」という意味のスロウで、敵を掴み任意の方向に一直線に投げ飛ばすことができます。これもパワー系です。
・メタナイト軍団(メタナイツ)
ボス「メタナイト」配下の様々な武器を装備した戦士チームで、複数匹と戦うことになります。
足場が3段構成の場所で端から次々と現れるやつらを順次倒していきますが、吸い込み一発で倒せますし、それを別のやつに当てればそれも倒せるのでどちらかと言うと簡単です。
コピーできる能力は無いです。
ボス & ラスボス
このゲームは大きく分けて7つのレベル(エリア)から構成されており、各レベルが4~6ステージで構成されています。そして各レベルの最終ステージをクリアするとボスステージが登場します。
工夫を凝らしたボスばかりなので初プレイ時は各エリアごとにワクワクします。
特に印象的だったのはレベル6のボスの仮面の剣士「メタナイト」で、まず剣を取れ!と言わんばかりに剣を投げてくるので、その剣を取るとバトルが始まります。
能力は「ソード」に固定され、強制的に剣対剣のバトルとなります。丸腰相手と戦うのを潔しとしない、いわゆる騎士道精神を持ったキャラというわけです。
よく見ると、ここまでのステージの途中で無敵になれるアイテムであるロリポップキャンディを投げてくれていたキャラもこいつです。
敵であるはずのカービィを援助したり、正々堂々と戦おうとする姿勢などを鑑みると後のシリーズで主要なキャラにさせる事がほぼ確定しているようなキャラ設定ですね。
そしてラスボスはスターロッドを奪った張本人の「デデデ大王」です。
ペンギンのような姿で、一見するとドン・キホーテのドンペンに見えます。特に赤い帽子が似てるんですかね?まぁペンギンキャラなんで描画パターンも似たようなものになりがちですしね。
ちなみにドン・キホーテによるとドンペンの誕生は1998年だそうです。
倒すと、スターロッドを夢の泉に戻そうとするカービィと、それを必死に引き留めようとするデデデ大王の演出があり、
カービィがスターロッドを夢の泉に戻すと「謎の球体」が泉から出現します。その後すぐ謎の球体を討伐する為、カービィを宇宙へ送り飛ばすデデデ大王の姿が描かれます。
クリア後のエンディングテキストで事の真相が判明しますが、この謎の球体が真のラスボス「ナイトメア」で、実はデデデ大王がスターロッドを奪ったのはこのナイトメアからプププランドを守る為だったわけです。
ナイトメアは夢の泉から誕生した「悪夢」であり、デデデ大王は悪夢の蔓延を防ぐために夢の発生源であるスターロッドを夢の泉から外したというのが事の真相です。
つまり、デデデ大王は実はいいヤツなんです。
ちょっと見直さざるを得ないですね。
ナイトメア戦ですが2連戦となっており、ここはちょっとだけ難しめです。特に1戦目はナイトメアの防御力が高いのか、なかなか体力が減りません。しかも制限時間が設けられていて1分しかないので、とにかく連打必須で、的を外している余裕もあまりないです。
2戦目は制限時間は無いですが、攻撃時に開くマントの中の光っている部分を狙う必要があるので、ちょっとだけ攻撃パターンを覚える必要がありますが、覚えてしまえば1戦目よりラクです。ノーダメージでも倒せます。
エンディングのテキストの時の星に乗ってるカービィと、デデデ大王の技の一つでもあるホバリングで、フグのように膨らんで飛んでいるシーンが妙に和みます。
あとがき
ところで私はスーファミの後、最初はセガサターン派でしたが、結局プレステも…という流れからPS2、PS3となり、実はカービィシリーズもスーファミ以来です。任天堂ハードとはすっかりご無沙汰。
特にスーファミの「星のカービィ スーパーデラックス」はかなりよくできたゲームかと。ゲームを楽しんでるって感じになれます。今でもなれます。
また、「星のカービィ3」はスーパーデラックスとイメージは一転し、パステル調のふんわりした感じのなごやかゲームで、協力者である様々な生き物たちの何とも言えない可愛さに思わず顔が緩みます。
次世代機のカービィってどんな事になってるんだろうか?と、もしプレイする機会があった場合に備えて、驚き度合を損なわない為にネットなどで情報を得ないようにしている私めなのであります。
おまけ
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