1986年10月 ジャレコ
80年代を代表するマンガ「うる星やつら」のファミコンソフトですが、全くもってマンガの世界観が反映されていないゲーム。
というのも、大人になるまで知りませんでしたが、このゲームは当時稼働していた「モモコ120%」なるアーケードゲームのキャラを差し替えただけのものだからです。
そして奇妙なのが「モモコ120%」のBGMが、全編にわたってうる星やつらのテーマソングの1つである「ラムのラブソング」になっているところ。
この時点では、うる星やつらと全く関連性がないはずなのに。
もしかして、アーケード稼働前にすでにファミコンにうる星やつらとして移植することを計画していたんでしょうか?
…そんなわけ無いか!
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概要
あらすじ
友引高校周辺一帯に大地震が発生し校舎が炎上、さらに時空の歪も発生。
その影響で幼児に退行してしまったラムが校舎を次々と登りきることで、未来へと戻っていき、最終的には元の時代で待つあたると結婚する。
というよくわからないものになってます。
おそらく、モモコ120%の世界観に何とか合わせようと考えた設定なのでストーリーが破綻してるのでしょうが、そもそもうる星やつらのストーリーも奇想天外なものが多いですし、そう考えるとこういうのも有りかもしれませんね。
うる星やつらはタイムスリップ系のエピソードが結構多かったりする。
ゲームの進め方
幼児に退行したラムちゃんは、最初は幼稚園児の状態で始まり、校舎の屋上まで登り、空を飛んでいる宇宙船に飛びつけばステージクリアとなり、次は小学生となります。
これを繰り返し、中学、高校をクリアすると、次は大学生と思いきや、なぜか「撮影スタジオ」。
これはモモコの方で、高校卒業後にモモコはアイドル歌手としてデビューするからです。
なので、ラムちゃんもまるでアイドルになったかのような状態でゲームは進みます。
そして最終ステージは「チャペル」。
ここは画面で言うと2~3画面分しかないおまけステージみたいなもので、敵をかわしながら8個のアイテムを回収すると、あたるの待つ礼拝堂でエンディングを迎えます。
ループ仕様なので、エンディング後はまた幼稚園児からスタートします(アイテムの配置などが変わる)。
それと、ステージクリア毎にクリアの制限時間が設けられていますが、その演出が校舎の1階からの火事というもので、徐々に火の手は上階へと迫ってきます。
炎の見た目がもはや火の海なので、屋上に脱出用の宇宙船が無かったらどうしよう!って思わされます。
ちなみに、さすがにチャペルステージは制限時間がなく、燃えてもいないのでご安心を。
アイドル的なラムちゃん。
アクション
攻撃
ラムちゃんの攻撃はご存知「雷撃」です。画面内に3発まで放つことができます。
連射しまくってるとここぞという時に撃てないので、ある程度間隔を空けて撃つのがよろしいかと。
敵が3匹ぐらい重なってたり、耐久力のあるプテラノドン(オリジナルの敵)なんかが目の前にいると、むやみな連射を後悔することになります。
また、コタツネコや水乃小路飛鳥は無敵なので雷撃が貫通してくれませんが、一方、敵の黒メガネが放つ弾丸はすり抜けて飛んでくるので注意です。
コタツネコ
- 上から降ってきて無敵の体を利用して進行の邪魔をしてきます。
- 自らは動きませんが、雷撃で押して穴に落とすことが可能で、また、スクロールアウトも有効。
- ゲーム中盤から結構な頻度で降ってくるのでなかなか厄介。
特にジャンプした時と落ちてくるタイミングが被るとほぼミス確定なので、慎重を期すなら穴を飛び越える際は一旦立ち止まった方がいいでしょう。
ファミコンゲームというのは得てしてノンストップで進むと敵にやられるようにできているのです。
こたつ猫はデカイ化け猫で、こたつがある場所には大体いる。
水乃小路飛鳥
原作同様、勢いよく走って迫ってきますが、雷撃を当てると瞬間的に動きを止めることができます。
どう見ても敵のようないで立ちですが、触れてもミスにはならず、1~2秒動けなくなるだけです。
飛鳥の兄、水乃小路飛麿(みずのこうじとびまろ)は水乃小路スポーツ用品店(スポーツ業界のドン)の御曹司で、面堂終太郎とは昔からの顔見知りでライバル的存在。
兄妹揃って天然(アホ)です。
黒メガネ
銃を所持しており射程範囲に入ると撃ってくるので、ある程度の距離は常に保ちましょう。
銃弾の速度は何気に早く、撃たれてからのジャンプ回避だと大体被弾します。
ゲームには登場しないが、面堂了子(りょうこ、面堂の妹)の直属の部下は「黒子部隊」で、こちらは結構有能。
ジャンプ
ジャンプは最初は重く感じますが、慣れるとそれほど性能は悪くなく、穴をすいすい飛び越えて進むことができるようになります。
また、垂直ジャンプ後すぐ(最高点到達前)に、左右どちらかを押すとその方向へ進むことができるので、ある程度の制御も可能です。
敵はプレイヤーの向いている方向に出現するという法則があるので、攻撃ができない手すり移動の際は後ろ向きジャンプで手すりに摑まることで進行方向に敵が出現しなくなり、ちょっとだけ有利に進めます。
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階層移動
エスカレーター
幼稚園(4階建て)から始まり、実質最終ステージのスタジオは(13階建て)と、徐々に階層は増えていき、その主な階層移動方法はエスカレーターです。学校なのに!
いや、すでに幼稚園が4階建てというのもすごいな。
上階へ向かうのが目的のゲームなので、各階層ではこのエスカレーターを目指すのが目的になります。あと、エスカレーターに乗っている間は無敵です。
無敵エスカレーターという言えば「エレベーターアクション」。
敵の攻撃が当たりそうでもエスカレーターに乗ってしまえばこちらのものです。
トランポリン
特殊なアクションとして、一部の場所と屋上へ出る際は、用意されているトランポリンを使った特大ジャンプで上階へ行くことになりますが、ボタンを押すタイミングがわからずなかなか発動できないという代物です。
またトランポリンジャンプ中は無敵ではないので、敵に触れないようにタイミングを計らなければならず、慣れるまではネックとなる箇所です。
特にスタジオの3階のトランポリンでは、一旦4階左側に登ってスイッチを押してから、またトランポリンに向かって落下し、今度は右側に登るという経路になっているので、敵との絡みでよくやられます。
ちなみにこの特大ジャンプ時は、ラムちゃんのおなじみの飛行音が鳴ります。
テンション上がります。
牛鬼レイ
もう一つの階層移動方法はレイ(牛鬼姿)の出現です。
レイはラムの元婚約者で、無口な超ハンサム(&超食いしん坊)キャラです。
原作では面堂は一応男前キャラですが、レイはその面堂を上回る超男前キャラという立ち位置。
このゲームでは一定の場所でジャンプすることでアイテムが出現しますが、アイテムを3つ取った時点でレイが登場し、プレイヤーはレイを操作することになります。
その時、敵は全部「タイヤキ」と化します。
タイヤキに接触するとレイはそれを食し、3つ食べると上ボタンを押しながらのジャンプで、どこからでも上階への移動が可能です。
効果持続時間は結構長くて、3階分ぐらいは上がることができます。(レイは穴に落ちない仕様)
この演出はまさに同社の「忍者じゃじゃ丸くん」の「忍法ガマパックン」由来ですね。
原作ではラムちゃんはレイのことを相当嫌ってますが、そんなキャラが一番使えるキャラになっているのが、また皮肉と言いましょうか。
ちなみに、レイは食べ物で頭がいっぱいのキャラ設定ゆえのこの演出はわかりますが、タイヤキを好物としているのはこたつ猫です。
アイテム
アイテムの位置は決まってますが見えないので、基本的に教室のドアの前か、エスカレーターを降りた所の色の付いた箇所でジャンプしてみてその有無を確認することになります。
ステージ前半は特に無視しても問題ないですが、ステージ後半は取れる場所であれば取って、できればレイで移動した方が効率的です。
星
バリアが張られて無敵になります。(落下はミス判定)
鳥
デフォルトはビキニのラムちゃんですが、これを取るとセーラー服を着用し、敵の攻撃を一回だけ耐えることが可能になります。
スタジオではアイドルっぽい衣装を着用します。
おまる
テンちゃん(ラムちゃんのいとこ)が登場し、ラムちゃんの前方上空から支援攻撃してくれます。
こってこての大阪弁で話す幼児。あたるやそのクラスメイトからは「ジャリてん」と呼ばれて、しょっちゅういざこざを起こしている。
一部、諸星あたるに似て大人の女性が大好き(幼児なのに「結婚して!」とか言う)で、特にサクラ先生が一番好き。
刀
面堂終太郎が登場し、ラムちゃんの前方に立って刀で敵を倒してくれます。
面堂財閥の御曹司で、ケタ外れのお金持ち。
女性にモテモテだが、ラムちゃんと出会ってからはラムちゃんが一番になる(但し、他の女子が目に入らないと言うわけではないので、根本部分は諸星あたるに結構似ている)。
日本刀を持ち歩き、事あるごとに振り回す(おもにあたるを切ろうとする)。
ラムちゃんに異変が生じるとまず諸星あたるに「ラムさんはどうした!?」と聞いたり、あたるがたまに発する素直になれないラムちゃんへの愛を感じると何も言わずに引き下がったりするあたり、2人の事を1ミリぐらいは認めているような感じ。
それか、有能なオトコだと諦めもつくが、あたるであれば愛想をつかしていずれは自分の元へ来てくれるかも知れないというある意味「安全地帯」と思っているのかも知れない。
温泉マーク
ラムちゃんの前方に立ち、盾となってくれます(盾にさせられているように見える)。
温泉マーク柄のスーツがトレードマークのあたるのクラスの担任。英語の授業をしている描写が結構多い。
生徒たちからほぼナメられた状態であり、テンちゃん同様、生徒とのいざこざ用キャラである。
またテンちゃん同様、サクラ先生にぞっこんである(サクラ先生は神社の巫女さんであるが、学校の保健医もやっている)。
純情キツネ
取るとボーナスステージへ移行します。
ある時、しのぶ(あたるの元カノ?第2ヒロイン)に優しくされて以来、しのぶへの恋心が止まらないちっちゃいキツネ。
バレバレの変化の術(キツネなので)であたるやしのぶなどに化けた姿とその所作が恐ろしくかわいい。
あと、このキャラに対してあたる以外みんな優しく、ほのぼのしたストーリーになるのが特徴的。
スイッチ
移動足場のスイッチで、取ると足場が稼動しますが、レイの出現条件となるアイテム数としてはノーカウント。
難易度
コンティニューも無いですし、難易度は高いですが極悪という程ではないので、練習すれば何とかクリア可能です。
但し、実質最終ステージの「スタジオ」は13階もあってかなり長いので結構な練習が必要かと思いますが、スタジオでもう一息というレベルまで上達できれば、気付けばそこまでの道のりは結構テンポよく進める腕前になっているのは間違いないです。
こんなに頑張ってクリアしてもエンディングで待っているのは、ヘンテコな動きで近づいてくるあたるくんです。
この動きがなんか無性に腹立ちます(笑)。
諸星あたるがラムちゃんに対して、面と向かってこんな風に近づくことは基本無い!
でも、本心はラムちゃんが一番です。
あたるからの「好き」が欲しいラムちゃんのしつこい求愛に対し、たまに「言わにゃわからんのか…」とボソッと言ってます。
あとがき
ラムちゃんと言えば、いつもあたるの後ろ上空をふわふわと飛んでいるところを思い浮かべると思いますが、このゲームでは一切飛んでくれません。なぜ飛ばない(飛べない)のかの説明も無いです。
それは詰まるところ…
モモコ120%ではモモコはどこで手に入れたのか説明も無く幼稚園児状態からすでに拳銃を所持しており、それを撃ちまくるというよく考えたらシュールな光景を繰り広げますが、ラムちゃんがラムたらしめるものの一つである飛行能力を排除している事を何の説明も無しに採用することによって、そのシュール性をも完全移植しようとしたジャレコの心意気ということなんでしょうね。
…そんなわけ無いか!
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